Kiraraさん





Smiling Precondition
― 笑顔の前提条件 ―


「アンジェ、こっちだよ!」
ジェイドさんが私に向かって大きく手を振っている。

今朝、風舞の峰で会おうと言われて、私は急いで細々した用事を済ませてここへやって来た。
ジェイドさんに声を掛けられて小走りに彼の元へと駆け寄る。

「すみません、お待たせしちゃいましたか?」
「いや、大丈夫だよ。俺もさっき来た所だから・・。」
そう答える彼の表情はいつもと変わらず、穏やかで優しい。

“何か大事な話でも・・?”と、彼の表情を伺う私の顔をじっと見守っていたジェイドさんが、不意ににっこりと笑った。

「?」
首を傾げる私に彼はゆっくりした調子で口を開く。
「あぁ、うん。・・なんだかとっても幸せだなと思ったんだ。」
「え?」
「君を見ていたら、ここから幸せの気持ちが一気にあふれ出して来たみたいだ。」
そう言って自分の心臓の辺りを指差しながら、またにっこりとジェイドさんが笑う。
「ふふ・・・。」
本当に幸せそうに笑う彼に、私までなんだか嬉しくなって微笑んだ。
そんな私を見ながら、なお笑みを深くするジェイドさんだった。
「そう、やっぱり君の笑顔はいいな。その笑顔できっと世界の人々はみんな幸せな笑顔に包まれていくんだ。」
「そうだったら、私も嬉しいですけど・・・。」
私の笑顔で、この世界の人たちが幸せな笑顔になれるのなら、いくらでも笑ってあげたい。
みんなを笑顔でいっぱいにするのが彼、ジェイドさんの望みでもあるのだから・・・。

「絶対にそうさ。こうやって君に幸せにしてもらった1人である俺が言うんだから、間違いないよ。」
「ジェイドさん。・・・ありがとうございます。私も精一杯頑張りますね!」
強く頷き、暖かく励ましてくれるジェイドさんに、ペコリとお辞儀をしながら素直に感謝する。
「う・・ん・・・。」
「ジェイドさん?」
私の言葉に、まだ優しい笑みを湛えたままのジェイドさんなんだけど、
返事が歯切れ悪い。
なんだかまだ、何か言いたそうな気がするのは、私の気にしすぎ??

「アンジェ・・。」
「はい?」
私の問いかけに、笑顔を少し苦笑に変え、右手で“おいでおいで”しながら私を呼ぶジェイドさん。
理由は良くわからなかったけれど、その手に導かれるように顔を近づけていくと・・・。

「?!」

いきなり彼の大きな両手が私の両肩に置かれた。
咄嗟の事に、心臓がひときわ大きく脈打つ。
“か、顔が赤くなってないかしら?”
などと内心慌てまくる私に気づいているのかいないのか、彼は伏目がちに私の耳元へ口を近づけてきた。

「本当はね・・・。」

ジェイドさんが、いつもよりやや低めの囁くような小声で話し出す。
「本当は・・・世界の人たちの誰よりもまずは、俺にいつも1番の笑顔を見せてほしいな・・・なんて、
ちょっと我が侭を言いたいところなんだけどね。」
「え?!」
思ってもみなかった事を囁かれて、驚いた顔でジェイドさんの方を振り向くと、
さっきよりもずっと近くなった顔が少々照れくさそうにしている。

“なんだ・・。そんな簡単なことだったら・・・。”
「うふふ・・。」
「アンジェ?」
驚いていた私が、急に笑い出したので、今度は彼の方が少しびっくりしていた。
その彼の方へと、今度は私が顔を近づけていく。
やはり私のリアクションは予想外だったのか、ジェイドさんは目を見開いたまま身体が引き気味だ。

“逃げちゃダメですよ。私だって言いたいことがあるんですから・・・”

そう心の中で苦笑いを堪えつつ、彼の腕をしっかり捕まえ、かなり長身の彼の耳元へと
爪先立ちながら片手を添える。
やっと私のやりたいことを理解してもらえたのか、口元を綻ばせたジェイドさんが少し背を屈めて
私が話しやすい位置に耳を傾けてくれた。
そして、私もさっきの彼のように少し潜めた声で大切な言葉を、他の誰でもない”あなた”へと贈る。

「はい、わかりました。
ジェイドさんに私の笑顔、いつでも差し上げます。
その願いは、あなたが一緒なら、とても簡単に叶えられるんですよ。
だって・・・、ジェイドさんといる時が、私、いつも1番自然に笑えるんですから・・。」

その言葉に、ジェイドさんはさっきよりももっと目を丸くして、内緒話で横向きだった顔を、徐々にこちらへと向けてくる。

ほら、きっと今、私の顔は心から溢れる1番幸せな笑顔になってるはず。
そうしたら、あなたも私の大好きな、優しくて暖かい包み込むような笑みで応えてくれますよね。


                      ね、ジェイドさん?




…..ヾ( 〃∇〃)ツ キャーーーッ♪

kiraraさんから素敵なイラストとSSをいただきましたv

どちらも素敵すぎて呼吸困難におちいってしまいましたよv

ありがとうございます〜vvv

やっぱジェイドっていい…(*ノωノ)ポッ




トップへ
トップへ

戻る
戻る




inserted by FC2 system